発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005051669
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23歳男.呼吸困難を主訴とした.飛び降り自殺にて全身を強打し,搬入時,右硬膜下血腫,肺挫傷,血胸,L1脱臼骨折(下半身麻痺),多発外傷を認めた.胸部造影CTでは両側肺挫傷,血胸を認めるも明らかな大動脈解離や大動脈の拡張などは確認できず,血胸,L1脱臼骨折と小腸穿孔に対する治療が行われた.第45病日より呼吸困難が出現し,胸部CTにて左右気管支を背側より圧排する胸部大動脈瘤を認めたため,第63病日,慢性期外傷性胸部大動脈瘤の診断にて手術を行った.大動脈狭部に気管を後方より圧排する直径約5cmの瘤を認め,瘤は約3cmの内膜欠損孔から縦隔内側に向かって進展していた.このため人工血管置換術を施行したところ,手術当日より人工呼吸器から離脱可能となり呼吸困難は解消された.受傷時の大動脈損傷は軽微であったが,次第に仮性動脈瘤を形成したと考えられ,重症外傷例では慢性期でも大動脈損傷後の大動脈瘤を念頭おいて診断・治療する必要があると考えられた
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