発行日 2007年11月1日
Published Date 2007/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008042664
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
59歳男。労作時呼吸困難を主訴とした。2回の経皮的冠状動脈形成術の既往があり、9ヵ月前には心拍動下冠状動脈バイパス術(OPCAB)を施行されたが労作時呼吸困難は残存した。心エコーで高度の虚血性僧帽弁逆流(IMR)を認め、心臓カテーテル検査では低左心機能を認めた。陳旧性心筋梗塞、心拡大による弁輪拡大、壁運動異常に伴う高度IMRによる心不全の診断で、右開胸による大動脈非遮断、常温心拍動下僧帽弁形成術を施行した。術中空気塞栓の危険を回避するため、弁輪形成リングの落とし込みと同時に経僧帽弁的にベントチューブを左室内に挿入し、ベントチューブの挿入・抜去を繰り返して逆流テストを行い、経食道エコーにて上行大動脈内エアを監視した。手術時間3時間52分、無輸血手術であり、術翌日に抜管して17日目に退院した。術後6ヵ月経過して心エコー上IMRの再発は認めず経過は順調である。
©Nankodo Co., Ltd., 2007