虚血性心筋症に対する外科治療戦略
虚血性僧帽弁閉鎖不全症に対する外科治療
山崎 和裕
1
,
南方 謙二
,
仲原 隆弘
,
船本 成輝
,
小田 基之
,
高井 文恵
,
武田 崇秀
,
村中 弘之
,
丸井 晃
,
三和 千里
,
池田 義
,
坂田 隆造
1京都大学 心臓血管外科
キーワード:
術後合併症
,
心エコー図
,
心不全
,
左室肥大
,
重症度指標
,
治療成績
,
敗血症
,
Batista手術
,
僧帽弁形成術
,
虚血性僧帽弁逆流
Keyword:
Echocardiography
,
Heart Failure
,
Postoperative Complications
,
Severity of Illness Index
,
Treatment Outcome
,
Hypertrophy, Left Ventricular
,
Sepsis
,
Mitral Valve Annuloplasty
pp.968-975
発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012139100
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虚血性僧帽弁閉鎖不全症に対し、僧帽弁輪縫縮術(MAP)のみ行った13例(男10例・女3例・平均62.6±8.2歳;M群)と、MAPに両乳頭筋間縫縮術を追加した6例(男4例・女2例・平均64.1±8.2歳;P群)の成績を比較した。M群は左室拡大、中等度以上のleaflet tetheringが見られ、P群はより高度の症例であった。術前後の比較では、左室駆出率はP群で11%、M群で4%の改善し、左室径、左室容量も両群とも縮小していた。僧帽弁閉鎖はP群では全例消失していたが、M群では中等度1例、軽度2例の逆流が残存した。P群ではtethering height、areaとも著明に減少していた。周術期死亡はなく、経過観察期間2~40ヵ月の中期・遠隔期成績で、M群の中等度逆流が残存した1例は感染性心内膜炎で僧帽弁人工弁置換術に至ったが、他に再手術例はなかった。P群では2例が心不全と敗血症で死亡し、生存4例中3例がNYHA分類III度以上で入退院を繰り返していたが、心エコーで僧帽弁の逆流は認めなかった。M群に遠隔死亡例はなく、NYHA分類II度が4例のみであった。経過中、両群とも僧帽弁逆流の増悪はなく、左室駆出率も悪化しなかった。左室容積はM群で著明に縮小し遠隔期も維持されていたが、P群では縮小後再拡大する傾向で、推定肺動脈圧も高値で推移していた。
©Nankodo Co., Ltd., 2011