発行日 2007年12月1日
Published Date 2007/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008116825
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63歳男。患者は登山中に呼吸困難となったが、安静で軽快した。その後、咳嗽を認め、呼吸苦が強くなった。胸部X線では心拡大、軽度の鬱血像がみられ、経胸壁心臓超音波では重度僧帽弁逆流を認め、断裂した乳頭筋も描出された。更に経食道心臓超音波では肥厚した僧帽弁後尖の逸脱を認め、また乳頭筋と弁尖間からの逆流も確認され、穿孔も疑われた。一方、冠状動脈造影では左前下行枝#6で完全閉塞、回旋枝#11に高度狭窄を認め、左前下行枝末梢は右冠状動脈から側副血行で逆行性に良好に描出された。以上、これらの所見より、治療として僧帽弁閉鎖不全症に対し僧帽弁形成術、冠状動脈バイパス術が施行された。その結果、僧帽弁を観察すると、後尖のP1~P2に腱索を出す前乳頭筋の一部が断裂し、逸脱した部分の腱索に絡まっている状態であった。乳頭筋は茶色で瘢痕化しておらず、比較的近接期に断裂したものと思われた。術後は順調にリハビリテーションが行われ、28日目に患者は退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2007