発行日 2007年8月1日
Published Date 2007/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007291733
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
54歳男性。患者は意識混濁状態で著者らの施設へ救急外来搬送された。強い背部痛と嘔吐が出現し、精査加療目的で入院となったが、既往歴には肝硬変、拡張型心筋症、心房細動があった。所見では胸部X線で右下肺野の含気低下と胸水像が認められ、CTにて右中下葉の虚脱とガスを伴う胸水貯留がみられた。また、超音波検査では肝硬変と胸水貯留が確認され、胸腔穿刺にて血性胸水を吸引し、胸水培養にてBacillus cereusが検出された。以上より、本症例はBacillus cereus膿胸と診断され、抗生物質のBIPM点滴投与を開始した。その結果、治療開始2週間で解熱となったが、炎症所見は遷延し、入院32日目に局所麻酔下胸腔鏡手術と胸腔洗浄が行なわれた。炎症所見は術後7日目に正常化し、19日目より抗生物質をCAM内服に変更、以後、23日目に患者は軽快退院となった。現在、術後2年経過で膿胸の再発はみられていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2007