発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010332100
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30歳女性。患者は背部痛および呼吸困難を主訴に近医を受診、胸部CTにて左下葉の肺内に液体貯留を認め、抗生物質の投与を受けるも症状が増悪したため、著者らの施設へ入院となった。所見では炎症の亢進がみられ、胸部X線ならびにCTにて肺膿瘍が考えられた。そのため、直ちにceftriaxone sodium hydrateとclindamycin phosphateの点滴が行われたが、呼吸状態の悪化がみられ、第2病日目に人工呼吸管理となった。以後、左胸腔ドレナージが行われ、その際に血性膿性の胸水の排液と空気漏れがみられた。また、胸部CTでは右肺のすりガラス陰影と左下葉の多房性嚢胞状領域、左気胸と左胸水が認められた。以上より、本症例は左下葉の肺膿瘍破裂による急性膿胸と急性呼吸促迫症候群と診断され、人工呼吸器管理、化学療法などを含めた集学的治療と、ニ窓小開胸を併用したVATSが行われた。その結果、患者は治癒が得られ、入院第35病日目に退院となった。
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