発行日 2007年3月1日
Published Date 2007/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007150038
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68歳女。約20年前より息切れ症状が出現し、次第に心不全症状が増強し動脈管開存症が疑われた。NYHA分類III~IV度で、胸骨左第2肋間にLevine IV/VI度の連続性雑音を聴取し、心拡大、両側肺門陰影の拡大を認め、左室壁肥厚、運動のびまん性低下、肺動脈内の異常な短絡血流を認めた。冠状動脈造影より右冠状動脈の起始部#1と左前下行枝(LAD)の近位部#6から瘻動脈が発生していた。胸骨正中縦切開下に心膜縦切開を行い、瘻動脈を同定しテーピングし人工心肺を使用せず血栓防止のheparin sodiumを使用して瘻動脈の虚脱を防ぎ、肺動脈流入部から結紮切離を行い、周囲の脂肪織を含め瘻動脈を可及的に切除した。心不全症状は改善し術後6年現在も心不全症状の再燃はなく、冠状動脈瘻の遺残は認めていない。multidetectorrow CTは術前の冠状動静脈瘻の解剖学的形態や位置関係、瘻動脈より末梢の冠状動脈の把握や術後の経過観察にも有用であると考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2007