発行日 2007年3月1日
Published Date 2007/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007150037
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57歳男。化膿性膝関節症で洗浄およびドレナージが施行されたが、発熱、白血球増多、CRP高値が持続し、5ヵ月後には呼吸困難、浮腫が著明となった。心エコーで大動脈弁の疣贅と高度な大動脈弁閉鎖(AR)を認め、感染性心内膜炎(IE)の診断で当科入院となった。血小板減少、腎機能低下、心陰影の著明な拡大、右側に多量の胸水を認め、高度なうっ血性心不全を伴うIEによるAR、僧帽弁逆流(MR)、三尖弁逆流(TR)と診断したが、術中の経食道心エコー(TEE)より左室右房交通症の合併を疑った。左室内で右冠尖と無冠尖の交連部より10mm下方に径3mm大の穿孔を認めこれを閉鎖後に大動脈置換術を行った。大動脈弁のIE炎症が膜性中隔房室部に波及穿孔し、左室右房交通症をきたしたと考えた。術後MR、TRは認めず、炎症再燃もなく洞調律が維持され、心不全症状は著明に改善され腎機能も正常化し、第26病日に退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2007