手術の工夫
肝臓授動を伴う経横隔膜再冠状動脈バイパス術
萩原 啓明
1
,
中山 智尋
,
竹田 伸
,
北野 知基
1国立病院機構名古屋医療センター
キーワード:
横隔膜
,
開腹術
,
血管外科
,
再手術
,
心エコー図
,
心臓カテーテル法
,
心電図
,
X線CT
,
冠状動脈バイパス術
,
吻合術
,
冠血管造影
,
三次元イメージング
,
胃大網動脈
,
冠状動脈狭窄症
,
心筋血流イメージング
Keyword:
Anastomosis, Surgical
,
Coronary Artery Bypass
,
Echocardiography
,
Diaphragm
,
Electrocardiography
,
Cardiac Catheterization
,
Laparotomy
,
Reoperation
,
Vascular Surgical Procedures
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Coronary Angiography
,
Gastroepiploic Artery
,
Imaging, Three-Dimensional
,
Coronary Stenosis
,
Myocardial Perfusion Imaging
pp.361-363
発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016298072
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70歳男性。冠状動脈バイパス術(CABG)の既往があった。今回、頻発する狭心痛を主訴に受診、冠状動脈CTにて大伏在静脈グラフト(SVG)の多発性狭窄病変を指摘され、再CABGの施行となった。術前の冠状動脈造影像ではSVG-#3は中枢、末梢吻合部と体部に高度狭窄が認められたが、4PDは造影されず、梗塞部位と考えられた。また、3D-CTでは左内胸動脈(LITA)が正中切開線に近接し、胸骨再正中切開はきわめて危険と考えられた。そこで、まず上腹部正中切開し、左右の肋骨臼をケント鉤で吊り上げ、横隔膜を正中から背側に向かって矢状方向に切開した。だが、標的血管への到達が困難で、肝臓を横隔膜から授動し、横隔膜をより背側に切開した。すると標的血管が確認でき、再CABGの施行が可能であった。以後、患者は合併症なく良好に経過し、術後12日目に独歩退院した。尚、目下、術後6ヵ月経過で狭心症の再発はみられていない。
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