発行日 2002年8月1日
Published Date 2002/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003026454
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57歳女.右乳房腫瘤形成を主訴とした.諸検査により,右乳癌と診断して乳房温存術,リンパ節郭清を施行した.病理組織所見では,低分化な乳管癌細胞集団が島状に存在し,その周囲は紡錘形ないし星茫状を呈する肉腫様細胞で占められていた.細胞異型が強く,核分裂像を認める部分もあり,又,癌と肉腫様部分の移行像が認められたことから乳腺紡錘細胞癌と診断した.本症は稀な疾患で癌肉腫として報告されたものを含めても,現在まで100例程度の報告しかない.術前の診断は,穿刺吸引細胞診で上皮性の癌細胞と非上皮性の肉腫様の紡錘形細胞を確認すれば可能と思われ,本例の場合,腺系の悪性細胞と異型のある非上皮性細胞の両方を認めており,本症を念頭に置いていれば,術前の細胞学的な診断は可能であったと考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2002