発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006157059
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2000~2004年の大動脈弁置換術(AVR)前後および術後遠隔期の心エコーによる血行動態と,診断録から得られた臨床症状によってpatient-prosthesis mismatch(PPM)の予後を評価し,狭小大動脈弁のAVRにおける有効弁口面積指数(EOAI)の許容下限を検討した.対象は87例で,平均年齢は65歳であった.結果的に弁輪拡大術は行わなかったが,PPM例は全体の4割に迫る頻度で,そのうち42%が術後に最大圧較差40mmHg以上と重度であった.しかし,EOAI 0.85cm2/m2を確保できなかったPPM例でも,無症状か不変・改善傾向にある症例を認めた.小口径人工弁に限定すると,異常圧較差例の最大EOAIが0.66cm2/m2であったこと,正常圧較差例の平均EOAIが0.69cm2/m2,最大心室中隔厚(IVST)が15mmであったことから,IVST 16mm以上の左室肥大はPPMの予後不良因子と認識されるが,EOAIが0.69cm2/m2以上ならば中等度のPPMは許容されるのではないかと考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2006