発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006153681
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
67歳男.1年前より腎不全のため血液透析を受けていた.前胸部不快感が出現し,血液生化学検査ではCRPの上昇のみ認め,心エコーでは三尖弁前尖に13×25mmの腫瘤影を認めた.血栓溶解療法,抗生物質投与を行ったが大きさに変化はなく,感染性心内膜炎(IE)による三尖弁疣贅または腫瘍を疑い手術を行った.前尖に1cm大の腫瘤を3個認め,中隔尖,後尖にも小結節を認めた.病変は広範囲であり,弁尖温存は困難と考え,生体弁で三尖弁置換術を施行した.切除標本の病理組織所見で著明な石灰化を伴う弁尖の肥厚,好中球の集簇,菌塊を認め,IEによる疣贅と診断した.術後は出血傾向,不整脈,透析,胸水貯留などで治療にやや難渋した.抗生物質はcefoperazone sodium/sulbactamおよびgentamicin sulfateを使用したが,発熱のためcefozoparan hydrochlorideに変更し,γ-グロブリンを併用した.術後2週に発熱は治まり,amoxicillin内服で第62病日に退院した
©Nankodo Co., Ltd., 2006