発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014204290
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50歳男。持続する発熱を主訴とした。血液検査でWBC、CRPは著明高値を示し、重症感染症の所見を呈していた。血液培養でStreptococcus pneumoniaeが同定されたため、感受性のあるbenzylpenicillin、gentamicinを投与したが、39℃超えの発熱が持続した。心エコーで三尖弁中隔尖から前尖にかけて可動性に富む20×26mm大の疣贅と、中等度の三尖弁逆流を認めた。MRIでは左後頭葉および左頭頂葉に出血を伴う比較的新しい脳梗塞を認め、奇異性塞栓が疑われた。多発性脳塞栓による出血性脳梗塞を合併した三尖弁位の感染性心内膜症と診断し、心不全症状がないため経過観察していたが、感受性のある抗生物質を投与しても感染が制御できず、可動性のある大きな疣贅もあったことから早期の手術介入が必要と判断した。入院後6日に人工心肺下に三尖弁置換術を施行し、術後に新規の神経学的所見の出現はなく、抗生物質を6週間継続し、感染の再燃なく独歩により退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2014