発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006004186
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50歳男.血痰を主訴に来院し,X線像上両側肺野に気腫性変化と多発性肺嚢腫を,左上肺野に大陰影を認めた.CT所見では左S1+2c中心の大血腫と考えられ,外来にて止血薬が投与されたが血痰が止まらず手術目的で入院となった.術中所見では上葉後面の胸膜癒着を剥離するとS1+2cに血腫が触れ,その他S1+2a,S4,S5,S6に多発する肺嚢胞を認めた.S1+2cの肺嚢胞(10×10×12cm)を切開して120gの血腫の除去後,肺嚢胞壁を切除縫縮し,S1+2a,S4,S5の肺嚢胞はNd-YAGレーザーで焼灼,S6肺嚢胞は切除縫合した.その後の病理最終報告でS1+2c肺膿疱壁の一部からanaplastic cancerが検出されたため,左上葉切除+リンパ節郭清の再手術を施行した.摘出標本の病理組織学的所見から本症例は大細胞癌pT3N0M0,IIB期と診断された.術後6年の現在,X線像上左下葉が切除空間をきれいに充填している.本症例を含む血痰喀血を主訴とした肺嚢胞に併発の原発性肺癌20症例の臨床的検討を行った
©Nankodo Co., Ltd., 2005