発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006153673
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59歳男.呼吸苦,悪寒の後に胸痛が出現し,心電図でST上昇を,経胸壁心エコーで心嚢液貯留と側壁の壁運動低下を認めた.心カテーテル検査でSeg 14に完全閉塞を認め,回旋枝の急性心筋梗塞に伴う心タンポナーデと診断し,緊急開胸術を行った.心臓を脱転すると心尖部から側壁にかけて梗塞巣と小さな断裂を認め,左室自由壁断裂(LVFWR)と診断した.フィブリンによるsutureless repairを行ったが,循環動態は改善しなかった.経食道心エコーで乳頭筋断裂による僧帽弁閉鎖不全を認め,僧帽弁置換術を行う方針とした.僧帽弁は前外側乳頭筋が断裂しており,前尖に穿孔部と疣贅を認めた.疣贅の細菌培養では緑色連鎖球菌が検出された.術後循環動態は安定したが,第20病日に突然ショックとなり,心エコーで再破裂を疑い,緊急手術を行った.梗塞巣は脆弱化しており,20mm程度の断裂を認め,blow-out型LVFWRと診断し,Teflon stripを用いた左室縫合術を行った.その後は経過良好で,第40病日に退院した
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