発行日 2010年6月1日
Published Date 2010/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010265958
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62歳女性。患者は冠動脈造影検査にて左主幹部(LMT)および3枝病変が認められた。手術目的で入院となり、術前、Aspirinの投与を中止し、Heparinの点滴静注を7日間を行い、on-pump心停止下に冠動脈バイパス術(CABG)が施行された。そして術翌日からAspirinとticlopidineの内服を開始し、Heparinも術後4日目まで少量投与した。しかし術後、SV2本の完全閉塞がみられ、術後29日目に経皮的冠状動脈形成術(PCI)が施行された。その結果、左右冠状動脈のステント内の血栓形成がみられ、Heparin誘発性血小板減少症(HIT)が疑われた。対処としてArgatrobanを静脈注射し、大動脈内バルーンパンピング(IABP)を挿入、手術終了後の翌日にIABPを抜去し、Aspirinに加えTiclopidineの内服を再開した。以後、順調な経過がみられ、PCI前日とPCI後2日目の検体による血小板凝集能検査から、本症例はHITと診断された。
©Nankodo Co., Ltd., 2010