発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006051524
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61歳男.気管支拡張症・糖尿病で加療中であった.自宅屋根から転落して救急搬送され,左多発肋骨骨折・左血気胸・肺挫傷・左肩甲骨骨折を認め,呼吸不全のため人工呼吸管理となった.肺挫傷改善後も肺うっ血が遷延し,第16病日には心雑音を認め,経胸壁エコーにてV度の大動脈弁閉鎖不全と診断された.保存的治療により呼吸不全と心不全は改善して退院したが,受傷4ヵ月後に緑膿菌常在性慢性気管支炎が増悪して再入院となり内科的治療で改善し退院となった.受傷後8ヵ月気管支炎が悪化して再々入院となり,呼吸不全のため人工呼吸管理を要し,喀痰からMRSAとセラチア菌が検出され,心不全の悪化と腎機能低下を併発したため大動脈弁置換術施行となった.術後経過は良好で,慢性気管支炎は軽快し,腎機能も正常化して術後43日に独歩退院となった.本症例では術前から呼吸器感染に加え糖尿病もあり,炎症所見の正常化を認めた術後25日まで抗生剤投与を継続して術後感染を防止した
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