発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004164376
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胸部下行及び胸腹部大動脈瘤手術における著者等の治療戦略と手術成績について検討した.対象は,肋間動脈の血流遮断によって脊髄虚血を起こす可能性があると考えられたTh6~Th12レベルに手術操作を加えた症例で,脊髄誘発電位(ESP)モニター下に脊髄虚血評価を行い手術を行った胸部下行大動脈瘤87例(DT群)と胸腹部大動脈瘤27例(TA群)とした.手術の基本方針は,DT群にはステントグラフト(SG)内挿術を,TA群には部分体外循環下人工血管置換術を原則とした.SG内挿術では,留置型SG(RSG)を用いた肋間動脈閉塞試験にてESP変化のないことを確認した後,永久型SGを挿入した.DT群では87例全例にSG内挿術を施行し,TA群では24例に外科手術を,リスクを有する3例には腹部分枝バイパス術を併用したSG内挿術を行った.ESPを利用した脊髄虚血モニター下のRSGによる評価は現時点では確立した方法とはいえないが,肋間動脈を再建できないSG内挿術においては有効な方法であり,その成績は良好であった.また,外科手術成績も概ね良好であった
©Nankodo Co., Ltd., 2004