発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004140230
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
70歳男.1984年に腹部大動脈瘤Y型グラフト置換術,グラフト右脚吻合部大動脈瘤手術,上行・弓部大動脈置換術が施行され,前回術後に遅発性の脊髄障害を疑う一過性の歩行不能と発作性心房細動の反復を認めた.2003年6月,前回併存した胸腹部大動脈瘤に対する術前心エコー検査にてI度の大動脈弁逆流を認め,画像所見では最大直径27mmの胸腹部大動脈瘤とY型グラフト左脚の吻合部瘤を認めた.心臓,脊髄および主要臓器の保護を目的に上・下半身分離送血・分離体温体外循環法を用いた胸腹部大動脈瘤手術を施行,上半身は送血温33℃,1.5l/分,下半身は送血温22~25℃,2.5l/分で灌流を維持した.大動脈瘤の遮断・切開ならびに肋間動脈,腹部分枝動脈の選択的灌流と再建を行い,吻合部瘤を切開・再縫合した.術後,脳脊髄合併症はなく,CTにて再建した動脈,グラフト左脚の状態は良好であった.本法は心疾患を合併し,肋間動脈,腹部分枝動脈の複雑な再建が必要な症例で特に有用であると考えた
©Nankodo Co., Ltd., 2004