連載 リハビリテーション医学研究のこれから
バイオ時代のリウマチリハビリテーション医療—リウマチリハビリテーション医療のtreat to target(RT2T)をめざして
高窪 祐弥
1,2
,
村川 美幸
1
,
浦山 樹
1
,
本間 龍介
1,2
,
成田 亜矢
1
,
髙木 理彰
1,2
1山形大学医学部リハビリテーション部
2山形大学医学部整形外科学講座
pp.676-679
発行日 2021年6月18日
Published Date 2021/6/18
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関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)治療は,早期の高用量メトトレキサート(methotrexate:MTX)とともに生物学的製剤(biologics,バイオ)や分子標的型抗リウマチ薬の導入により,薬物治療を中心にパラダイムシフトが起きたとされる1, 2).治療目標は,疼痛コントロールから骨関節破壊の防止・身体機能の維持へと移行した.リハビリテーション医療の目標も,これまでの疼痛軽減や変形予防から,寛解導入までの関節保護や寛解達成後の機能改善に変化し,より高いADL・QOLをめざしたリウマチリハビリテーション医療が求められている.
しかし,最新の薬剤治療を行っても,10〜20%は効果不十分や治療継続困難となり,いまだ,一定の患者で骨関節破壊の進行がみられる3).また,超高齢社会を反映して,RA患者の高齢化,高齢発症RA患者の増大が報告されている4, 5).高齢者では,高血圧,脂質異常症,糖尿病,慢性腎臓病,骨粗鬆症,変形性関節症,心血管疾患,肺疾患,悪性腫瘍などのさまざまな併発症の増加や身体機能障害,サルコペニア,認知症,免疫能低下が年齢とともに進行するため5),薬剤治療は制限され,その治療目標は完全寛解から低疾患活動性へと低下せざるを得ない症例が増加する1, 2, 5).そのような薬剤治療に制限のある患者では,機能維持,症状緩和のためリウマチリハビリテーション治療に大きな役割が求められている.
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