扉
To treat or not to treat
松本 悟
1
1神戸大学脳神経外科
pp.105-106
発行日 1976年2月10日
Published Date 1976/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436200404
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胸椎部にまでおよぶ巨大脊髄髄膜脱,あるいはHydroanencephalon, Holoprosencephalonに対する治療方針をどうするか.さらに,高度水頭症を合併した腰仙部完全麻痺の脊髄髄膜脱の新生児に対し,どんな治療を施すべきか,先天性神経奇型にかぎらず,脳挫創後のいわゆる植物人間に対する治療はどうあるべきか,言語中枢,脳幹におよぶ脳腫瘍や血管奇型に対して,具体的にどんな治療がのぞましいのか.
診断技術や,治療手技の改良進歩がいかにつづいても,治療の可否についての判断に迷う経験は,脳外科医である限り,だれしも持っているであろう.「それは,脳外科医個人の治療に対するphylosophy, policyで決定されるべきだ」と言ってしまえばその通りである.内外の脳外科医にお聞きすると,一人一人の経験と信念にもとづいたpolicyが返ってくる.「生きとし生きる者すべて可能なかぎり治療をほどこし,1分1秒たりとも生命を永らえるべきだ」との理想論の実践から,「遷延性昏睡をふくめ,精神神経機能の一定限度以上の脱落があれば,治療の対象とすべきでない」との現実的解決法まで,いろいろである.
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