Japanese
English
バイオ時代におけるリウマチ性疾患の診療 Ⅱ.検査・診断
2.画像診断
MRIによる関節リウマチ早期診断とtreat to target(T2T)戦略における有用性
Role of magnetic resonance imaging for early diagnosis and treat to target in rheumatoid arthritis
池﨑 龍仁
1
,
村田 浩一
2
,
松田 秀一
1
T. Ikezaki
1
,
K. Murata
2
,
S. Matsuda
1
1京都大学大学院整形外科
2京都大学大学院リウマチ性疾患先進医療学講座
1Dept. of Orthop. Surg., Kyoto University Graduate School of Medicine, Kyoto
キーワード:
MRI
,
RA
,
bone edema
,
undifferentiated arthritis
Keyword:
MRI
,
RA
,
bone edema
,
undifferentiated arthritis
pp.28-33
発行日 2023年10月25日
Published Date 2023/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei84_28
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は じ め に
関節リウマチ(RA)は持続する滑膜炎をきたす自己免疫性炎症性疾患である.手や足をはじめとする全身の関節に炎症をきたし,疼痛や破壊をきたす結果,身体機能が低下し,患者の日常生活に大きな影響を及ぼす.近年,生物学的製剤やヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬といった薬物やtreat to target(T2T)といった治療戦略の進歩に伴いRA患者の予後は大きく改善した.
RAの治療において,「臨床的寛解」や「構造的寛解」,「機能的寛解」を達成するためには早期発見,早期治療を行い,厳密な治療(tight control)を行うことが重要である.現在日常RA診療で用いられている画像検査としては,単純X線像,関節超音波像,CTそしてMRIがあげられる.単純X線像は簡便で,骨表の変化がとらえやすく,複数の関節の骨びらんや関節裂隙の狭窄化といった病変を視覚化し,経時的な変化をモニタリングするために有用である.しかし,単純X線像では,骨びらんよりもはるかに早く起こる滑膜組織や骨髄の変化は検出できない1).骨びらんが発生する数ヵ月~数年前に滑膜および骨髄の変化が起きていることが示されている2,3).こういった初期の変化の評価やモニタリングには,より高感度の画像検査が必要である.超音波像やMRIは身体所見や単純X線像ではとらえることのできなかった微細な滑膜炎所見や骨の構造異常を検出することができる.本稿では,RAの診断,寛解の評価などにおけるMRIの臨床的有用性について概説する.
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