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変化
障害者就労支援プロジェクト「はたらくNIPPON!計画」は,開始から3年を経て就労支援フォーラムNIPPONを核に全国各地で「やればできる」「こうすればできる」「そう考えるのではなく,こう考えてみよう」というわかりやすいコンセプトでモデル事業を設置することで,障害者福祉就労の現場に刺激を与え,それぞれの改善につなげようと取り組んできた。ただ,目的は,モデル事業の数を増やすことではなく,あくまでソーシャルイノベーション。いくら作っても社会の景色が変わったことを皆が実感できなければ,やはり「砂漠に水を撒くようなもの」である。行政施策や事業者を束ねる関連団体に変化と進化がもたらされて,はじめてプロジェクトが意味を持ってくると考えている。まだまだプロジェクトがこの課題に関する社会のあり方を変えるには程遠いが,変化は見られてきた。
まず,事業者に対する支援報酬の改定(図)。常々,「モラルで行動が変わる事業者は限られる,報酬上でその行動に変容をもたせることが必要」と考えているが,2018年4月より適用された改定では,初めて「工賃実績に応じた報酬設定」という考え方が適用された。現場では報酬減となるところが多く,まだその受け止めには消極的な向きはあるものの,「方向は定まった」と工賃向上意識が明確になった事業者も確実に増えている。プロジェクトを通じ,報酬システム上の問題について,ディスカッションしてきた一つの成果としてこの変化を前向きに受け止めている。ようやく着手できた工賃に比例した報酬システムは,まだまだメリハリが効いていない激変緩和のものだが,次回の改定ではさらに踏み込んだ方針が取られるよう引き続き実践を通して対話していきたいと思っている。
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