特集 病院における死後の看護
コラム 病院や霊安室の新しい兆し
八木澤 壯一
1
1東京電機大学工学部建築学科
pp.183
発行日 1999年3月10日
Published Date 1999/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900970
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建築学の専門分野の1つに建築計画学がある.これは,建築デザインの前段階の,そこで行なわれるべき行為と建築空間の関係の科学的な分析を試みるもので,「建築空間を規制する要素の最たるものが,そこで展開される人間活動である」という考えに基づく.
私はこの建築計画学の立場から,葬祭施設に関心を持ちつづけてきた.人間が最も人間らしい活動をする場所はどこかと考えた時,「死」を迎える場面が浮かんだことと,「死」をタブーとし正視してこなかった現実に向き合う必要を感じたからである.火葬場からスタートした研究も火葬の前後に拡大し,病院の霊安室,葬儀場,納骨や埋葬,墓から自然葬にまで及んでいる.さらにターミナルケアの場としての病室も研究対象とし,デヴィッド・ケスラー著『死にゆく人の17の権利』(椎野淳訳,集英社刊,1998年)が参考になった.
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