巻頭言
10年の価値
田辺 大起
1
1日南町国民健康保険日南病院
pp.396-397
発行日 2018年6月15日
Published Date 2018/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200870
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ある時,外来リハに週に3回通う方に対応していた。その方は入院中から私が担当し,最近退院したばかりだった。趣味は夫と共にゲートボールをすることであり,その趣味活動への復帰が入院中の目標だった。長距離の歩行には車いすが必要であるが,コート内の移動やパット動作は自立し目的のゲートにボールを打ち込むこともできる。現場への移動は夫が介助し,いくつかの配慮があれば練習場に行って楽しむことができる見込みとなり退院された。
しかし,退院後もゲートボールに参加することはなく外来リハに通っている。よくよくお話をおうかがいすると,実は,と切り出し「若い時,車いすで参加される人を見て『迷惑になるから皆さんの集まる場所にわざわざ来なくてもよいのに』と思っていた。だから私もこの状態では行くべきではないと思っている」と打ち明けてくれた。
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