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介護予防は2つに分けて考える必要があります。1つ目は要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと,2つ目は要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと,さらには軽減を目指すこと1)です。前者は地域包括ケアシステムにおける「医療」「介護」とともに「生活支援・介護予防」として,重要な視点として組み込まれており,これまでの一次予防,二次予防に加え,「新しい総合事業」における各自治体の取り組みが報告されています。一方で後者の介護予防はというと,回復期や維持期(生活期)の方々は積極的なリハを提供される仕組みがあります。しかし「障害高齢者の日常生活自立度分類」でCランクもしくは要介護5の方々における「介護予防」はどう考えれば良いのでしょうか。CランクはC-2(自力では寝返りもうてない),要介護度は5までとなり,これ以上の悪化はないと判断され,介護予防の視点は必要なくなるのでしょうか。
この問いに対して,大田仁史氏は当事者および家族の視点から終末期リハ2)および介護期リハ3)を定義し,できる限りの自立支援やきれいなご遺体を帰結としたリハ活動の重要性を提言されました。特に終末期リハの具体的な取り組みとして,1)清潔の保持,2)不動による苦痛の解除,3)不作為による廃用症候群の予防,4)著しい関節の変形・拘縮の予防,5)呼吸の安楽,6)経口摂取の確保,7)尊厳ある排泄手法の確保,そして 8)家族へのケアといった8項目を挙げています。現在では医療法人社団慶成会青海慶友病院が先進的な取り組みをされており4),特に関節の変形・拘縮の予防に対しては効果を示しています。現場を見学させていただきましたが,終末期リハの対象者が普段着で安楽に離床できる車いすに座り,木漏れ日の中を散歩したり,喫茶店で家族と談笑したり,多様なレクリエーションに参加したり,そしてご遺体になっても,きれいでいられるような取り組みを目の当たりにし,「自分の親を安心して預けられる施設」を実現していると実感しました。
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