Japanese
English
特集 首下がり症候群の病態と治療
首下がり症候群に対する三次元動作解析を用いた脊椎アライメントの定量的歩行評価
Quantitative Evaluation of Dynamic Spinal Alignment Changes during Gait Using Three-dimensional Motion Analysis for Dropped Head Syndrome
三浦 紘世
1
,
門根 秀樹
2
,
朝田 智之
1
,
坂下 孝太郎
1
,
角南 貴大
1
,
山崎 正志
1
Kousei MIURA
1
,
Hideki KADONE
2
,
Tomoyuki ASADA
1
,
Kotaro SAKASHITA
1
,
Tomohiro SUNAMI
1
,
Masashi YAMAZAKI
1
1筑波大学医学医療系整形外科
2筑波大学附属病院未来医工融合研究センター
1Department of Orthopaedic Surgery, Institute of Medicine, University of Tsukuba
キーワード:
三次元動作解析
,
three-dimensional motion analysis
,
歩行解析
,
gait analysis
,
首下がり症候群
,
dropped head syndrome
Keyword:
三次元動作解析
,
three-dimensional motion analysis
,
歩行解析
,
gait analysis
,
首下がり症候群
,
dropped head syndrome
pp.469-472
発行日 2023年9月4日
Published Date 2023/9/4
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202118
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はじめに
首下がり症候群(dropped head syndrome:DHS)では,主に頸部痛や前方注視障害を呈する.病因として,特発性のほかに背景疾患が多彩であることが知られており,129例のDHS患者において21種類もの背景疾患があったという報告もされている4).DHSの治療については,自然経過や原因疾患の治療により保存的に改善を得ることもあるが,最終的に保存治療が無効で首下がりによる日常生活動作の障害が強い場合には,矯正手術の適応となる.しかし,胸腰椎の変形に比べて,DHSは比較的まれな疾患であるために,標準的な矯正手術戦略についてはまだ十分に確立されていないのが課題である.
DHSに対する矯正手術を検討する際に,頸椎の後弯変形の評価のみならず立位全脊椎単純X線を用いて,全脊椎のアライメントを評価することが近年重要視されてきており,分類としても用いられている1).一方で,全脊椎単純X線を用いたパラメータ計測は,一時の立位姿勢の静的な評価に過ぎないことと,患者の立位姿勢により再現性が低いことが問題である11).
われわれは,胸腰椎脊柱変形症例において歩行時に姿勢障害や腰痛が悪化するという愁訴をしばしば経験することに着目し,三次元動作解析を用いた連続歩行動作中の定量的解析を行い,実際に歩行中に矢状面バランスが悪化することをこれまでに報告してきた2,3,7,8).本研究では,DHS患者でも歩行中に頸部痛や首下がりの悪化を訴えることから,DHSに対して三次元歩行動作解析を用いて歩行時の脊椎骨盤矢状面バランスの動的な変化を定量的に評価した.
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