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Spine & Spinal Cord Volume 36, Issue 7 （September 2023）

脊椎脊髄ジャーナル 36巻7号（2023年9月発行）

Japanese English

特集首下がり症候群の病態と治療

HAL歩行訓練による首下がり改善効果の解析 Analysis of Dropped Head Syndrome Attenuation after Gait Training Using HAL 門根秀樹 ¹ , 三浦紘世 ² , 久保田茂希 ³ , 國府田正雄 ² , 山崎正志 ² Hideki KADONE ¹ , Kousei MIURA ² , Shigeki KUBOTA ³ , Masao KODA ² , Masashi YAMAZAKI ² ¹筑波大学サイバニクス研究センター ²筑波大学医学医療系整形外科 ³筑波大学医学医療系運動器再生医療学講座 ¹Center for Cybernics Research & University of Tsukuba キーワード：首下がり症候群 , dropped head syndrome , HAL , Hybrid Assistive Limb , 歩行訓練 , gait training Keyword: 首下がり症候群 , dropped head syndrome , HAL , Hybrid Assistive Limb , 歩行訓練 , gait training pp.525-531

発行日 2023年9月4日 Published Date 2023/9/4

DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202130

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参考文献 Reference

背景と目的

　首下がり症候群（dropped head syndrome：DHS）は頸部の伸展筋力低下や伸展困難を特徴とし，頸部痛，前方注視障害，食事困難など，日常生活動作（ADL）や生活の質（QOL）を著しく損なうことが指摘されている^4,22）．DHSの原因は，isolated neck extensor myopathy（INEM），パーキンソン病，重症筋無力症，筋萎縮性側索硬化症などが指摘されているが^4,11,22），治療法は確立されておらず，手術のほか，装具や頸部伸筋群のトレーニングを含むリハビリテーションの有効性が報告されている^{2〜6,11,13,14,19）}．

　Miuraら^18）は，Hybrid Assistive Limb（HAL，CYBERDYNE社，日本）を使用した歩行訓練後に首下がりが改善した症例を報告した．HALは下肢装着型の外骨格ロボットであり，患者の膝関節と股関節の矢状面動作を運動意図に応じて支援するものである^20）．HALを使用した歩行訓練は脳卒中^21,25），脊椎脊髄疾患^{1,8,9,12,23）}，脳性麻痺^15）などの神経系疾患に対する歩行改善効果が報告されているが，DHSに対してHAL歩行訓練を実施した研究は少ない．本稿では，HAL歩行訓練による首下がり改善効果を検討した臨床研究^10）について説明する．