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特集 目で見て学ぶ脊髄・末梢神経疾患の診察法(動画付き)
第2章 特徴的な歩行と異常姿勢
頸部の姿勢異常と歩容変化—三次元動作解析を用いた歩行評価
Abnormal Cervical Posture and Gait Alterations: A Three-dimensional Gait Motion Analysis
三浦 紘世
1
,
門根 秀樹
2
,
朝田 智之
1
,
坂下 孝太郎
1
,
角南 貴大
1
,
山崎 正志
1
Kousei MIURA
1
,
Hideki KADONE
2
,
Tomoyuki ASADA
1
,
Kotaro SAKASHITA
1
,
Tomohiro SUNAMI
1
,
Masashi YAMAZAKI
1
1筑波大学医学医療系整形外科
2筑波大学附属病院未来医工融合研究センター
1Department of Orthopaedic Surgery, Institute of Medicine, University of Tsukuba
キーワード:
三次元動作解析
,
three-dimensional motion analysis
,
歩行解析
,
gait analysis
,
首下がり症候群
,
dropped head syndrome
Keyword:
三次元動作解析
,
three-dimensional motion analysis
,
歩行解析
,
gait analysis
,
首下がり症候群
,
dropped head syndrome
pp.885-890
発行日 2024年1月19日
Published Date 2024/1/19
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202217
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頸部の姿勢異常
頸部が過度に前屈して,首が垂れ下がった“首下がり”が頸部の姿勢異常として知られている.首下がりの自覚症状としては,頸部痛や頭部の下垂のために生じる前方注視障害が挙げられる.重度の姿勢異常に陥ると,下顎が胸部に接触するいわゆるchin-on-chest deformityをきたし,嚥下障害,開口障害,歩行障害や前胸部の皮膚びらんなどさまざまな症状を呈する.また,脊柱管狭窄による圧迫性頸髄症を合併することもある.
首下がりの病態としては,退行性変化の成れの果てや椎体骨折後変形治癒,強直性脊椎炎のような可動性が乏しい硬い頸椎後弯変形と,いわゆる狭義の首下がり症候群である頸部伸筋の筋力低下を主な原因とした他動的に矯正可能な柔らかい変形とを,まず異なる病態として考える必要がある.しかし,経過が長くなると,当初は柔らかい変形であっても,軟部組織の拘縮や頸椎の退行性変化が進行することで可動性が喪失し,病態の区別が難しくなる症例も経験する.また,首下がり症候群の病態については,原因が明らかでない特発性や,神経原性疾患(パーキンソン病,筋萎縮性側索硬化症,多系統萎縮症,重症筋無力症など),筋原性疾患(筋ジストロフィー,ミオパチーなど),代謝内分泌疾患(甲状腺機能低下症,低カリウム血症)や医原性(放射線治療後,頸椎後方手術後)などさまざまな原因がこれまで明らかにされており,過去には129症例において21種類もの多彩な背景疾患があったという報告もされている2).
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