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特集 首下がり症候群の病態と治療
パーキンソン病における首下がり症候群
Dropped Head Syndrome in Parkinson's Disease
関 守信
1,2
Morinobu SEKI
1,2
1慶應義塾大学医学部神経内科
2慶應義塾大学病院パーキンソン病センター
1Department of Neurology, Keio University School of Medicine
キーワード:
頸部前屈症
,
antecollis
,
首下がり
,
dropped head
,
パーキンソン病
,
Parkinson's disease
Keyword:
頸部前屈症
,
antecollis
,
首下がり
,
dropped head
,
パーキンソン病
,
Parkinson's disease
pp.463-468
発行日 2023年9月4日
Published Date 2023/9/4
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202117
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はじめに
首下がりという症状が病的な状態として注目されたのは1880年代である.ジュネーブのGerlier医師 9)が発作性間欠性のめまいと頸部伸筋の筋力低下による首下がりを主症状とする地方病を報告し,日本では三浦謹之助 21)が発作的な首下がりを認める多数の日本人患者を調査し,1897年に“Über Kubisagari”と題するドイツ語の論文として発表した.その後,1980年にKatzら 15)が筋生検でmyopathyの所見を認めた首下がりの症例をfloppy head syndromeとして報告し,1992年にはSuarez & Kelly 33)が全身性の神経筋疾患なく生じた頸部筋の筋力低下による首下がりの症例をdropped head syndromeと呼んだ.
パーキンソニズムと首下がりの関係については,1985年に熊倉ら 18)が「パーキンソン病(PD)患者にみられた斜頸の発症機序に関する一考察」という論文を発表した.そして,1989年にQuinn 27)が剖検で診断された多系統萎縮症(multiple system atrophy:MSA)で高頻度にdisproportionate antecollisが認められることを報告した.現在までに首下がりの原因疾患として,筋疾患,重症筋無力症,末梢神経疾患,PDやMSAのような錐体外路疾患,運動神経疾患,頸椎症,薬剤性などが報告されているが(表 1),本稿ではPDにおける首下がりについて解説する.
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