Japanese
English
特集 頸椎前方手術Up To Date 2
上位頸椎腫瘍に対する下顎・舌縦割を併用した経口進入法による前方手術
Mandibular and Tongue Splitting Transoral Approach for Cervical Spine Tumor
渡辺 航太
1
,
松本 守雄
1
Kota WATANABE
1
,
Morio MATSUMOTO
1
1慶應義塾大学整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Keio University
キーワード:
頸椎腫瘍
,
cervical spine tumor
,
経口進入
,
transoral approach
,
下顎・舌縦割
,
mandibular and tongue splitting
Keyword:
頸椎腫瘍
,
cervical spine tumor
,
経口進入
,
transoral approach
,
下顎・舌縦割
,
mandibular and tongue splitting
pp.763-767
発行日 2019年8月25日
Published Date 2019/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201195
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
背景
下顎骨・舌縦割による経口進入法の最初の報告は,1911年のKocherによる耳鼻咽頭科領域の手術である.脊椎外科領域に応用されたのは,1977年のHallらの報告が最初である2).彼らは頭頸移行部の重度後弯変形による脊髄麻痺に対して,本アプローチを用いてC2-5の前方固定を行った.本邦では1980年にHakubaらが環軸関節亜脱臼例1),渡部ら7)やHonmaら3)が脊索腫例,松本らが軟骨肉腫例と間葉系軟骨肉腫例6)に対する本アプローチを用いた手術例の報告をしているが,本術式の報告例は少ない.
環軸関節上位〜中位頸椎に伸展する椎体腫瘍の摘出術は,周囲の重要臓器(椎骨動脈,脊髄,神経根,食道,気管,頸動静脈)によりアプローチや手術操作に難渋する.棘突起,椎弓,外側塊,椎弓根に局在する腫瘍であれば後方アプローチで対応可能であるが,脊髄より前方部に局在する腫瘍に対しては前方アプローチが必要である.その際の代表的なアプローチに経口進入法があるが,腫瘍が外側や頭尾側に広く伸展する場合は,通常の経口進入法では術野や視野が狭いため十分な摘出が困難となる.そのため,下顎骨と舌を縦割することによりC4までの術野を確保する.本稿では,上位〜中位頸椎椎体に伸展する脊椎腫瘍に対する下顎・舌縦割による経口進入法について概説する.
Copyright © 2019, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.