Japanese
English
特集 上位頚椎疾患―その病態と治療(第23回日本脊椎外科学会より)
上位頚椎疾患に対する前方進入法の適応と術式選択
Indications and Methods of Anterior Approach to the Upper Cervical Spine Lesions
斉鹿 稔
1
,
河合 伸也
1
,
淵上 泰敬
1
,
深堀 勝之
1
,
豊田 耕一郎
1
,
加藤 圭彦
1
Minoru Saika
1
1山口大学医学部整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, Yamaguchi University School of Medicine
キーワード:
上位頚椎
,
upper cervical spine
,
経口的進入法
,
transoral approach
,
咽頭外進入法
,
extrapharyngeal approach
,
環軸関節転位
,
atlanto-axial subluxation
,
脊髄症
,
myelopathy
Keyword:
上位頚椎
,
upper cervical spine
,
経口的進入法
,
transoral approach
,
咽頭外進入法
,
extrapharyngeal approach
,
環軸関節転位
,
atlanto-axial subluxation
,
脊髄症
,
myelopathy
pp.483-489
発行日 1995年4月25日
Published Date 1995/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901612
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
抄録:手術的治療を行った上位頚椎疾患85例のうち前方進入法を行った12例(男性10例,女性2例,年齢14~68歳)について有用性と問題点を検討した.疾患は,歯突起骨折4例,外傷性環軸関節転位2例,歯突起形成不全2例,転移性脊椎腫瘍2例,歯突起偽関節1例,リウマチ性環軸関節転位1例である.術式は,経口的前方進入法が6例であり,2例では下顎骨骨切り術を併用した.また,歯突起形成不全の2例では,前方進入法に先立って後方固定術を併用した.残り6例には咽頭外進入法(DeAndrade法5例,Whitesides法1例)を行った.前方進入法の欠点は,後方進入法に比較して2~4倍の手術時間を要した点である.また,経口的進入法では術後管理(口腔内洗浄,栄養補給および経口摂取,顎間固定,患者の苦痛)が,咽頭外進入法では複雑な解剖,除圧術や両側環軸関節の展開が困難である点があげられる.上位頚椎への前方進入法は,後方除圧術で対応できない症例に対して有用な術式であり,進入路と展開の面から経口的進入法が望ましく,抗生物質が発達した現在では術後感染の危険性は少ない.手技が煩雑である欠点に対しては,口腔外科医の協力を得れば解決でき,手術時間も短縮できる.広い術野が必要な場合には,下顎骨骨切り術の併用が有用である.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.