カラーシリーズ 整形外科手術・1
上位頸椎に対する経口腔侵襲法
池田 亀夫
1
1慶応義塾大学整形外科
pp.636-639
発行日 1974年8月25日
Published Date 1974/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905026
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結核,リウマチ,骨折,脱臼,腫瘍,奇形など上位頸椎疾患に対する経口腔侵襲法(transoral approach)は1947年Thomson, Negus.が咽後膿瘍の掻爬に用いたのを嚆矢とする.本法によれば環軸椎への到達は直截的,容易であり,視野は良好である。DeAndrade(1969)の推奨する胸鎖乳突筋前縁からの侵襲法は外頸動脈の重要な分枝を切断し,上喉頭神経に与える損傷が大きく,さらに視野は狭隘で良好とはいえない.
本法成功の要点は部位的特殊性から感染と椎骨血管損傷の防止である.感染防止のために次のことを厳守する.術前に既存の齲歯,副鼻腔炎,扁桃腺炎を治療する.術前3日から口腔,鼻腔にテトラサイクリンなどのスプレー,アクロマイシントローチを投与する.手術前日は朝食のみ許可し,以後は禁食とし,含嗽を充分に励行する.
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