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イラストレイテッド・サージェリー 手術編Ⅱ-118
肩甲舌骨筋外縁進入による頸椎前方アプローチ
Anterior Surgical Approach to the Cervical Spine via the Lateral Margin of the Omohyoid Muscle
相庭 温臣
1
Atsuomi AIBA
1
1沼津市立病院整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, Numazu City Hospital
pp.825-832
発行日 2020年9月25日
Published Date 2020/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201488
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手術適応
頸椎前方除圧固定術は,1950年代後半からSmith & RobinsonやClowardにより頸椎椎間板ヘルニアに対して始められ,胸鎖乳突筋の内縁を進入するアプローチが本邦にも普及した.胸鎖乳突筋は頭側ほど外側に位置するために,C3/4やC2/3を含む頭側の展開では同法は不利になる.この問題を解決するために,当施設では1997年以降,望月により始められた肩甲舌骨筋外縁を進入するアプローチを用い,5椎間症例も含む前方除圧固定術に適応してきた1).このアプローチの特徴は,①頸椎は後屈せず中間位とし,対側に回旋しない,②多椎間症例でも横切開を選択する,③肩甲舌骨筋外縁から進入することである2).通常,C2/3からC7/T1までの展開を安全に行うことが可能であり,頸椎椎間板ヘルニア,頸椎症性脊髄症,頸椎後縦靭帯骨化症,化膿性脊椎炎,脊椎腫瘍などが適応疾患となる.
頸椎前方手術には,気道狭窄や食道損傷などさまざまな致死的合併症が報告されている3)が,その多くがアプローチに関連した合併症であり,アプローチへの習熟により回避可能なものが少なくないと思われる.本法は従来法に比較し,汎用性が高く合併症の予防につながる,肩甲舌骨筋外縁進入による前方アプローチが普及し,本邦における頸椎手術の今後の発展に寄与することを期待したい.
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