増刊号 テクニカルエイド—つくる自助具・使える自助具
第3章 かかわる時期・場所別の導入・支援の視点
7 テクニカルエイドと就労支援
扇 浩幸
1
Hiroyuki Ogi
1
1株式会社リニエR リニエワークステーション中野
pp.758-762
発行日 2024年7月20日
Published Date 2024/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203870
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はじめに
「テクニカルエイドと就労支援」と聞いて皆さんは何を思い浮かべるだろうか.最初に執筆の話を聞いたとき,筆者は両者の関連性を想像することが難しかった.テクニカルエイドや自助具というと,生活に密着した環境調整のために用いられるものという固定観念があったように思う.しかし,よく考えるとPCのキーボード入力が苦手な人が音声入力を活用するように,人は障害の有無にかかわらず,少なからず自分が働きやすいよう道具や支援技術を工夫している.
また,周囲の話を聞くと,知的障害者の就労支援では「治具」の活用が求められることがわかった.「治具」とはもともと工学的な分野の言葉で,「加工をする際に,加工されるものを固定し,加工の案内をしてくれる補助的な役割をもった装置」といわれている.転じて,知的障害の就労支援では,軽作業の補助をしてくれる道具を表す言葉として用いられてきた.たとえば10まで数えられる利用者に,10個のマス目を書いた紙を用意すれば,そこに対象物を10個ずつ置くことで100でも1,000でも数えられるといったものである.これらは広い意味で,テクニカルエイドと呼べるのではないだろうか.
本稿ではテクニカルエイドを,こうした広義の概念で捉え,これまでの筆者の実践の中から2事例を振り返り,就労支援におけるテクニカルエイドの活用ポイントを示した.
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