増刊号 テクニカルエイド—つくる自助具・使える自助具
第3章 かかわる時期・場所別の導入・支援の視点
COLUMN 生活行為の工夫と便利グッズの活用
宮永 敬市
1
Keiichi Miyanaga
1
1北九州市保健福祉局地域リハビリテーション推進課
pp.763-764
発行日 2024年7月20日
Published Date 2024/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203871
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生活行為と工夫
われわれの生活は,身の回りのことから家事や仕事,余暇,旅行,地域活動等,さまざまな行為の連続で成り立っており,その人にとっての生活を続けることで,満足感や充足感を得ながら生活を送っている.このため,自分らしい生活を維持していくには,その生活行為をできるかぎり続けていくことが重要となるが,病気や障害がきっかけでその行為をあきらめてしまっている方を見かけることがある.特に高齢者については,身体の衰えとともに日常生活のさまざまな場面で困りごとが生じるため,対応できず行為をあきらめてしまうことが少なくない.
しかしながら,日常生活のしづらさや困りごとは,さまざまな工夫で解決できることが多くある.たとえば,腕が上がらず,腰も曲がっているため洗濯物をうまく干せない場合でも,「動作・方法」,「道具」,「環境」を工夫することで解決できることがある.具体的には,椅子に座ったまま洗濯物を干すことで,立っている時間を減らし身体の負担を軽減すること(動作の工夫)や,台の上に洗濯カゴを置いて作業することで,かがむ動作を極力なくすこと(道具の工夫),低い物干しを使うことで,椅子に座って安全に干せるようにすること(環境の工夫)等,その人に合った工夫(ここでは,「生活環境支援」と整理する)により,課題解決につなげることができる(図 1).
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