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Key Questions
Q1:下肢慢性創傷に対する集学的治療とは?
Q2:創傷ケアセンターにおける多職種協働とは?
Q3:さらに看護師と作業療法士の協働とは?
はじめに
日本は超高齢社会を迎え,末梢動脈性疾患(peripheral artery disease:PAD)や糖尿病等の患者の増加とともに,その合併症である下肢慢性創傷・足病変も増加し,これによる下肢の大切断も増加している.大切断後はADLの低下から血管系の疾患(脳梗塞,心筋梗塞等)を発症しやすくなり,その予後は5年生存率約40%(透析患者は約20%)と,胃がんや大腸がんより低い.そこで,かかとを残し,歩行機能を維持し,ADLの低下を防ごうという「救肢」の取り組みが始まっている.
大分岡病院(以下,当院)は,2004年(平成16年)2月にミレニア・ウンド・マネジメント社と提携し「創傷ケアセンター」を開設し,本邦ではめずらしく,1施設完結の下肢救済に積極的に取り組んできた1).そのためにはチーム医療が不可欠である.専門診療科間の連携から始まり,薬剤師やPT,OT,管理栄養士等の病棟配置により専門職が直接患者の治療に参画できるようになり,創傷ケアセンターの役割が確立した.看護師や各職種間の協働もスムーズになっている.また医師と病棟看護師の病棟カンファレンスが多職種カンファレンスへ移行し,協働を前提に治療方針を決定できるようになり,入院から退院,転院までシームレスな介入や治療を可能にしている2).
これらの取り組みは,厚生労働省により下肢救済を目的とするチーム医療として認められ,平成23年度(2011年度)「チーム医療実証事業」,平成24年度(2012年度)「チーム医療普及推進事業」の実施施設に指定3)され,現在も他施設からの依頼によりワークショップを開催している.
今回私たちの取り組みの中から,看護師とリハスタッフ,特にOTとの協働について紹介する.
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