1ページ講座 理学療法関連用語〜正しい意味がわかりますか?
集学的慢性痛診療
竹内 伸行
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1高崎健康福祉大学保健医療学部理学療法学科
pp.269
発行日 2019年3月15日
Published Date 2019/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201484
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国際疼痛学会(International Association for the Study of Pain:IASP)では,痛みを「実際の組織損傷や潜在的な組織損傷に伴う,あるいはそのような損傷の際の言葉として表現される,不快な感覚かつ感情体験」と定義している1).つまり疼痛は,感覚的側面(痛みの感覚)に加え,情動,つまり恐れや苦悩などの感情の動きとしての一面をもつ.急性痛は損傷組織の治癒を図ることが疼痛緩和にも結びつく.慢性痛は,一般に組織の治癒期間を超えているが痛みが持続する状態である.心理社会的因子の影響を受けるため,この因子を含む生物心理社会モデルが提唱されている(図)2).IASPでは慢性疼痛を「治療に要すると期待される時間の枠を超えて持続する痛み,あるいは進行性の非がん性疼痛に基づく痛み」3)と定義している.
慢性痛はさまざまな要因の影響を受け,経過が長期におよぶことも少なくない.このため治療ではさまざまな職種による連携が不可欠であり,幅広い視点で診療を行う集学的診療が重要となる,集学的診療とは,医師や理学療法士,薬剤師,看護師,臨床心理士など多分野,多職種の専門家が集まる「集学的診療チーム」によって行われる診療である.これら多職種が慢性痛の病態や全身状態,心理状態,患者背景,治療目標などを十分な議論に基づいて検討,共有し,治療が行われることが重要である.
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