連載 下肢慢性創傷への作業療法・第6回【最終回】
下肢慢性創傷患者の活動拡大への介入
加藤 恒一
1
,
佐藤 浩二
1
Koichi Kato
1
,
Koji Sato
1
1大分岡病院
pp.1052-1058
発行日 2018年9月15日
Published Date 2018/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201447
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Key Questions
Q1:下肢慢性創傷患者に対するOTの役割とは?
Q2:どのような多職種連携が必要となるか?
Q3:活動量と再発予防の両立を図るためには?
はじめに
下肢慢性創傷患者の再発率は非常に高く,再発に伴う再切断や全身状態の悪化は生命予後やADLの低下に直結する.
その背景には,高齢で疾病構造が多様化していることに加えて,創部や食事,投薬,活動度等の自己管理に支援を要すること,経済的困窮,家族や地域のつながりの希薄化,退院後の支援先が限定される等の要因が挙げられる.そのため,入院加療期間においては,心身機能のみならず,生活背景や退院後の過ごし方,介護保険サービスの展開に至るまで一貫した情報収集やコーディネートが必要となる.
われわれは,術前から積極的に作業療法介入を行い,限られた医学的安静度の中で十分にADL,精神・心理,社会的な背景要因を評価し多職種と情報共有することを心がけている.また術後は早期よりフットウェアの装着指導や上肢の機能改善を図り,ADLやIADL,役割の再獲得等,活動性の向上に向けてチームで取り組んでいる.
本稿では,下肢慢性創傷患者の活動拡大に向けた取り組みについて,身体機能,精神・心理機能,再発予防の3項を概説し,次に事例を通して当院での取り組みを紹介する.
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