連載 下肢慢性創傷への作業療法・第1回【新連載】
下肢慢性創傷の病態と治療
寺師 浩人
1
Hiroto Terashi
1
1神戸大学大学院
pp.346-351
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201249
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Key Questions
Q1:糖尿病性足潰瘍の病因は何か?
Q2:下肢慢性創傷患者の下肢切断後のADLはどう変わるか?
Q3:歩行の意義は何か?
はじめに
かつて慢性創傷の三大疾患は,褥瘡,静脈うっ滞性潰瘍,糖尿病性足潰瘍といわれていた.近年それは変化してきている.
褥瘡に関しては,1998年(平成10年)の日本褥瘡学会設立以来,多職種(医師,看護師,薬剤師,栄養士,PT,OT,医用工学研究者等)が一堂に会し,産官学が一体となり,ケア・治療・予防等が急速に発展し褥瘡学が飛躍的に向上し,その発生率は減じた.
ところが,他の慢性創傷である静脈うっ滞性潰瘍や糖尿病性足潰瘍,さらに重症下肢虚血(critical limb ischemia:CLI)を呈するに至る末梢動脈性疾患(peripheral arterial disease:PAD)については,同様に多職種でのアプローチが必要であるのにもかかわらず,いまだチーム医療には至っていないのが現状である.褥瘡を除けば,慢性創傷の残る主疾患のほとんどが下肢に発症するため,医療,医学のみならず医療経済を含めて産官学が一体となり取り組むべきこれからの課題が下肢慢性創傷である.
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