特集 教育
養成校における教育に関する要望―臨床実習スーパーバイザーの立場より・特に臨床教育の現状の問題点について
西岡 正明
1
1兵庫県リハビリテーションセンター
pp.249-251
発行日 1980年4月15日
Published Date 1980/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102127
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Ⅰ.はじめに
臨床実習は,それまで学生が学んできた学校教育にくらべ,その対象となる患者の存在の中で学習して行くという大きな変化がある.そのため学生は“行動する”ことに確信がなく,指導者の監督と指示を聞きながら患者に対していかに自分の考えを表現すれば良いか困惑することになるだろうし,患者と自分,自分と指導者の間で何を目標に置いて臨床実習を行えばよいか判断が難しくなるだろう.また,指導者からみれば日常の業務を遂行する上で学生の指導という重大な責任があるため,患者に対して学生の存在理由の説明に苦しむこととなり,主体性が患者にあるのか,学生にあるのか,時に困惑することがあると思える.また,患者からみると学生から指導を受けることに最初,懸念するだろうし,それぞれ三者三様の困惑が実習開始当初に見受けられることは多くある.そして,他のリハビリテーションスタッフとの関係においても,学生はどのようにチームの中でかかわってゆけばよいかなどが問題となろう.
このような人間関係の中で,現状においてどのように臨床教育を行ってゆけばよいか考えるために,当センターの方法を説明しながら指導者側からみた臨床実習の問題点について触れて行きたいと思う.
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