- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
4年制の各養成校では,2020年(令和2年)4月入学生から約20年振りに変更された新しい「理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則」(以下,指定規則)が適用され,新カリキュラムのもとで初めて4年間の学業を修了した学生らを,2024年(令和6年)3月に見送ったタイミングを迎えている.指定規則改正内容は,管理学の新設や医用画像評価,喀痰等の吸引を評価学・治療学等に組み込むこと等,臨床実習の単位数増加(4単位分)も含め,総単位数は93単位以上から101単位以上に引き上げられた1).これらを受け,各養成校では科目の新設,統廃合,見直し等が行われ,限られた時間割の中で,高度化・多様化する医療ニーズに対応した学生を養成することが求められている2).
筆者らの所属する東北福祉大学(以下,本学)3)は,宮城県仙台市に位置し,2025年には創立150周年を迎える社会福祉系私立大学で,建学の精神である「行学一如,自利・利他円満」を基調としながら「学問の追求とその学びを実践で活かす」ことを認識し,学問と実践を両立できる人材の育成を目指している.健康科学部リハビリテーション学科作業療法学専攻は,設置より17年目を迎え,各学年約40名の学生らに対し,本学の教育理念を基に作業療法の理念と思想を大切にしながらも実践力のある人材の養成に努めている.特に実践的教育を重視することから,附属病院や老人保健施設,老人福祉施設等,学内の学びを実践(実習)できる場を多く整備しており,教育内容はもちろんのこと,学生が学びやすい環境を整備し,新たなテクノロジーの活用や国際交流等,学生が意欲的に学べるよう工夫している.
本稿では一養成校の観点より,4年間を通したモノ作り体験,自助具・福祉用具・生活支援教育をテーマとして,養成教育課程の内容と得られた課題について記載する.所持する備品数や学生数,立地,利用可能資源等,個々の違いが多く存在することが推察されるが,本学での取り組み例が,臨床現場や他養成校,教育機関の中でのテクニカルエイド教育の参考になれば幸いである.
なお,本稿ではテクニカルエイドは“汎用の便利品ではなく,疾病・事故等により生じた心身の障害による多様な活動制限に対して,何らかの機器の工夫で新たなインターフェースを再構築し,活動制限を解消するか低減を図るもの”4)と定義づけ,養成校教育の中で卒後これらにつながる要素のある教育内容を,テクニカルエイド関連教育として記載する.
Copyright © 2024, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.