連載 川モデル【最終回】
文字で描く川モデル—医療観察法入院棟での経験から
奥田 真由美
1
,
初鳥 日美
1
,
田中 美都
1
,
吉村 尚江
2
1地方独立行政法人岡山県精神科医療センター
2まきび病院
pp.1214-1218
発行日 2015年11月15日
Published Date 2015/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200415
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
筆者(奥田)は2009年(平成21年)より医療観察法入院棟の担当者として勤務している.「医療観察法」とは「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」を指し,心神喪失又は心神耗弱の状態(精神障害のために善悪の区別がつかないなど,刑事責任を問えない状態)で,重大な他害行為(殺人,放火,強盗,強姦,強制わいせつ,傷害)を行った人に対して,適切な医療を提供し,社会復帰を促進することを目的としている1).
医療観察法に限らず精神保健福祉法でも,強制入院の枠組みで医療を開始する対象者は,対象者自身の治療意欲が低く,自身の疾病を否認し,行動変容の必要性を感じていない場合が多い.OTは,対象者の主体性を尊重し,そのストレングス(強み)を最大に強化すると同時に,治療中断や環境の変化による自傷他害のリスクマネジメントの視点をもつことを求められる.特に医療観察法では,重大な他害行為を防止するリスクマネジメントが要求され,それらの根拠の明確な提示が必要である.筆者は,ストレングスを発見し強化することと,リスクマネジメントを同時にバランスよく行うには,川モデル2,3)の視点は非常に有効であると考えていた.しかし,川モデルの持ち味である描画での解説では,明確な根拠の提示に乏しかった.そこで,会議等でも使えるツールを開発し,「文字で川を描く」取り組みをした.今回はその過程や実践を紹介する.
Copyright © 2015, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.