連載 診療所日誌・9
川からの風
小笠原 望
1
1大野内科
pp.772-773
発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100208
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93歳の矢野さんの往診が毎日続く。腎不全で,貧血があり,暑くなって食欲がなくなった。本人も家族も,最期まで家でと強く望んでいる。「先生が来てくれたら,一番安心する」,そう言われると意気に感じるぼくの気合いが入ってしまう。
矢野さんの家は,診療所から四万十川の上流に向かって堤防沿いに少し走ったところにある。四万十川の堤防は近所の人の散歩コース。朝夕に犬を連れた人,タオルを首にウオーキングする夫婦,たくさんの姿を見る。先日はもっと運動をしようと勧めた患者さんに出会った。外来診療が早く終わると,ぼくも犬を連れてこの堤防を妻と歩く。犬が立ち止まったときに,あたりを見渡しては四万十川の夕暮れの景色を堪能する。
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