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特集 心臓リハビリテーションの今—重複障害に対する作業療法
心臓リハビリテーションにおける重複障害—作業療法士に期待すること
Cardiac rehabilitation in multimorbidity and multiple disabilities(MMD): Expected roles of occupational therapists
上月 正博
1
Masahiro Kohzuki
1
1東北大学大学院医学系研究科 機能医科学講座 内部障害学分野
pp.1162-1167
発行日 2015年11月15日
Published Date 2015/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200404
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Key Questions
Q1:心臓リハの定義は何か?
Q2:心臓リハにおける作業療法士の役割は何か?
Q3:重複障害に対する作業療法士に必要な心構えは何か?
はじめに
わが国は,平均寿命,高齢者の割合,高齢化のスピードの3点において,世界一の超高齢社会になった1).「ヒトは血管とともに老いる」というように,加齢は循環器疾患の大きな危険因子であり,10歳年をとると虚血性心疾患や脳血管疾患の死亡率が2〜3倍も上昇する.一方で,高齢者においても循環器疾患に対するリハの効果や意義はすでに証明されており,若年者の場合と比較しても効果に遜色ないことが明らかにされている2,3).
超高齢社会では循環器疾患と他の疾患による重複障害も増えている.たとえば,急性心筋梗塞発症後30日間の脳卒中発症リスクは一般人口の44倍と著しく高い4).高齢心不全患者の33%に慢性閉塞性肺疾患(COPD)を合併している5).変形性関節症もまた心血管疾患の独立した危険因子である6).
2014年度(平成26年度)診療報酬改定により,心大血管疾患リハにOTの職名が追記された.このことは,OTの心臓リハへの参入が認められただけでなく,OTの役割が「作業療法」以外にも拡大されたことを意味する.本稿では,心臓リハとその重複障害に関して概説するとともに,OTに期待することについて言及する.
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