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特集 回復期リハビリテーションと作業療法
回復期リハビリテーション医療において作業療法士に期待すること
Expectation to the occupational therapist in the convalescence rehabilitation medicine
酒向 正春
1,2
Masaharu Sakoh
1,2
1ねりま健育会病院
2ねりま健育会病院 回復期リハビリテーションセンター
pp.372-378
発行日 2024年5月15日
Published Date 2024/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203762
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Key Questions
Q1:上下肢能力の回復方法とは?
Q2:ADLを回復させるコミュニケーション方法とは?
Q3:高次脳機能障害から復職へ,そして,認知症リハとは?
はじめに
回復期リハビリテーション病棟に入院する患者は,基本的には後遺障害がない状態の元通りに回復することを希望している.当然であろう.患者は脳血管疾患や運動器疾患,そして,廃用症候群等の原疾患の重症度に応じて,意識障害,運動麻痺や失調,感覚障害,言語障害,嚥下障害,高次脳機能障害,精神障害等のさまざまな症状を生じる.そのため,能力が低下して,歩行障害とADL障害や,コミュニケーション障害をきたしてしまう.軽症例では後遺障害がほとんどない程度まで改善することもあるが,中等症や重症例では後遺障害は必ず残存する1).
回復期医療における作業療法士の仕事は,患者と良好な信頼関係を構築して,患者をチーム医療に誘導し,可能な範囲で患者の機能障害と能力障害を改善して,患者の新しい人生の再出発に寄り添うことにある.そこで,作業療法士は,ADL障害,上肢機能障害,高次脳機能障害,復職困難等の問題に対して,リハビリテーション治療でどのように回復させたらいいかという現実に直面する.さらに,慢性期で長期的にわたり支えると,加齢とともに認知機能が低下してくるために,認知症に対するリハビリテーション介入が必要になる2,3).
本稿では,約78mLの左被殻の重症脳出血症例の治療経過から,回復期の作業療法士に期待することを伝えたい.
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