- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.Patisiran treatment in patients with transthyretin cardiac amyloidosis. N Engl J Med 2023;389:1553-65. PMID:37888916
研究デザイン│第Ⅲ相国際多施設二重盲検プラセボ対照RCT
背景・目的│ATTR心アミロイドーシスともよばれるトランスサイレチンアミロイドーシスは,心臓内のATTRアミロイド沈着の蓄積に関連し,進行性の心筋症を呈することが多い。RNA干渉治療薬であるpatisiranは,肝臓のトランスサイレチンの生成を阻害する。ATTR心アミロイドーシス患者における,patisiranのプラセボと比較した有効性について検証する。
対象│次の①〜③を満たす18〜85歳の患者[①ATTR心アミロイドーシスの診断(組織生検標本の解析でトランスサイレチンアミロイド沈着物が存在する,または外的妥当性のあるATTR心アミロイドーシスの非生検診断基準を満たす,と定義),②拡張末期心室中隔壁厚が12mmを超える心病変の証明(心エコーで確認),③心不全の既往](21か国の69施設,2019年10月〜2021年5月)
介入・方法│それぞれpatisiran(体重1kg当たり0.3mg,最大用量30mg)またはプラセボを3週間に1回,12か月間静脈内投与するpatisiran群とプラセボ群に1:1に無作為に割り付けた(隠蔽化あり,患者-治療者盲検)。ベースライン時のタファミジスの使用の有無,遺伝子型(変異型・野生型ATTR),ベースライン時のNYHAクラス(Ⅰ,Ⅱ),年齢(<75歳,≧75歳)により層別化。
プライマリアウトカム│無作為割付から12か月後の6分間歩行試験の歩行距離で測定する機能的能力の変化(ITT解析)
結果│合計360例の患者がpatisiran群(181例)とプラセボ群(179例)に無作為に割り付けられた。12か月後の6分間歩行距離の低下は,プラセボ群よりもpatisiran群が低かった(差の中央値のHodges-Lehman推定量14.69m,95%CI 0.69〜28.69,p=0.02)。KCCQ-OSスコアは,patisiran群でわずかに上昇し,プラセボ群で低下した(最小二乗平均差3.7点,同0.2〜7.2,p=0.04)。2番目の副次的エンドポイント(全死亡,心血管イベント,12か月後の6分間歩行のベースラインからの変化の複合エンドポイント)では有意な効果は観察されなかった。インフュージョンリアクション,関節痛,筋けいれんは,プラセボ群よりもpatisiran群でより多く発生した。
結論│ATTR心アミロイドーシス患者において,patisiranの12か月間投与は,プラセボと比較して12か月後の機能的能力を維持した。
Copyright © 2024, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.