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1.Lowering systolic blood pressure to less than 120 mm Hg versus less than 140 mm Hg in patients with high cardiovascular risk with and without diabetes or previous stroke:an open-label, blinded-outcome, randomised trial. Lancet 2024;404:245-55. PMID:38945140
研究デザイン│オープンラベルRCT(PROBE法)
背景・目的│収縮期血圧120mmHg未満が140mmHg未満より優れているかどうかについては,特に糖尿病患者や脳卒中の既往のある患者ではわかっていない。心血管リスクの高い患者において,収縮期血圧の目標値を120mmHg未満とした強化降圧治療の,標準治療と比較した有効性と安全性を3年以上にわたって検証する。
対象│血圧130/80mmHg以上で50歳以上の心血管高リスク患者。高リスクは心血管疾患の既往または少なくとも2つ以上の主要な心血管リスク因子(男性:60歳以上,女性:65歳以上,糖尿病,脂質異常症,喫煙者)をもつと定義(中国の116施設,2019年9月17日〜2020年7月13日)
介入・方法│最小化プログラムを用いて,対象になった患者を収縮期血圧120mmHg未満を目標値とする強化治療群と,収縮期血圧140mmHg未満を目標値とする標準治療群に1:1に無作為に割り付けた(隠蔽化あり,オンラインシステムを用いた中央割付,最小化法,盲検)。部位,施設により層別化。
プライマリアウトカム│主要血管イベント:心筋梗塞,冠動脈・非冠動脈の再灌流療法,心不全による入院または救急受診,脳卒中,心血管死亡の複合(ITT解析)
結果│11,255例(糖尿病4,359例,脳卒中既往3,022例)を,強化治療群(5,624例)と標準治療群(5,631例)に無作為に割り付けた。平均年齢は64.6(SD 7.1)歳であった。最初の3か月間の漸増期間を除く追跡期間中の平均収縮期血圧は,強化治療群で119.1(SD 11.1)mmHg,標準治療群で134.8(10.5)mmHgであった。中央値3.4年の追跡期間中,主要アウトカムイベントは強化治療群547例(9.7%),標準治療群623例(11.1%)に発生した(HR 0.88,95%CI 0.78〜0.99,p=0.028)。糖尿病の状態および罹病期間,脳卒中の既往による効果の異質性はみられなかった。重篤な有害事象のうち,失神の発生は,標準治療群〔5,631例中8例(0.1%),HR 3.00,95%CI 1.35〜6.68〕よりも強化治療群〔5,624例中24例(0.4%)〕で多かった。低血圧,電解質異常,外傷を伴う転倒,急性腎障害については両群間で有意差を認めなかった。
結論│糖尿病や脳卒中の既往の有無にかかわらず,心血管リスクが高い高血圧患者において,収縮期血圧120mmHg未満を目標とする強化治療は,140mmHg未満を目標とする標準治療と比較して,有意に主要血管イベントを予防した。有害事象のリスクは軽度に上昇した。

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