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1.Renin-angiotensin system inhibition in advanced chronic kidney disease. N Engl J Med 2022;387:2021-32. PMID:36326117
研究デザイン│多施設共同オープンラベルRCT
背景・目的│ACE阻害薬やARBなどのレニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬は,軽〜中等症のCKDの進展を遅らせる。しかし進行したCKDにおいてはRAS阻害薬の中止が,推定糸球体濾過量(eGFR)を上昇させたり,低下を遅らせたりする可能性があることを示唆する研究結果もある。進行したCKD症例に対してRAS阻害薬を中止した場合,継続した場合と比較して,eGFRを上昇させたり,低下を遅らせたりするか検証する。
対象│18歳以上のステージ4または5(eGFR<30mL/min/1.73m2)で維持透析および腎移植を受けていない,次を満たすCKD患者[①過去2年間で年間2mL/min/1.73m2以上のeGFR低下,②ACE阻害薬またはARBを6か月以上内服](英国39施設,2014年7月11日〜2018年6月19日)
介入・方法│RAS阻害薬の中止群と継続群に1:1の割合で無作為に割り付けた(隠蔽化あり,インターネットを用いた中央割付,患者-治療者非盲検,結果評価者盲検)。年齢(<65,≧65歳),eGFR(<15,≧15mL/min/1.73m2),糖尿病(1型,2型,なし),平均動脈圧(<100,≧100mmHg),蛋白尿(<885,≧885mg/gCr)で層別化。
プライマリアウトカム│3年後のeGFR(ITT解析)
結果│3年後,登録患者411例のeGFRの最小二乗平均(±SE)は,中止群12.6±0.7mL/min/1.73m2,継続群13.3±0.6mL/min/1.73m2(差-0.7,95%CI -2.5〜1.0,p=0.42)で,継続群の優越性を支持する結果とはならなかった。事前に指定したサブグループによるアウトカムの不均一性は観察されなかった。末期腎不全への進展または腎代替療法の開始は,中止群128例(62%),継続群115例(56%)で発生した(HR 1.28,95%CI 0.99〜1.65)。心血管イベント(中止群108例 vs. 継続群88例),死亡(20例 vs. 22例)の有害事象の発生は,両群で同等であった。
結論│ステージ4または5のCKD患者において,RAS阻害薬を中止した場合,継続した場合と比べて,eGFRの長期的な低下率に有意差はみられなかった。
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