特集 PCAS
Part 3 心拍再開後の治療
1.心拍再開後の冠動脈造影の意義—早期CAG/PCIは予後を改善し得るか
藤 雅文
1
,
武居 哲洋
1
Masafumi TOH
1
,
Tetsuhiro TAKEI
1
1横浜市立みなと赤十字病院 集中治療部
pp.669-678
発行日 2014年10月1日
Published Date 2014/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200104
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心停止の原因として急性冠症候群(ACS)は大きな割合を占め,その管理は自己心拍再開(ROSC)後の予後を改善するうえで,非常に重要である。ACSに由来する心停止後のROSC症例に対する冠動脈造影(CAG)や経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の意義について心肺蘇生法国際ガイドライン2005では記載さえなかったが,その後,急速にROSC後早期のCAG/PCIに関する研究や知見が蓄積し,ガイドライン2010から推奨項目とされるようになった。本稿では,ガイドラインの変遷をふまえ,ROSC後早期のCAG/PCIの意義と有用性についてのエビデンスを検証した。
Summary
●院外心停止の原因として最も多いのはACSであり,ガイドラインではROSC後早期のCAG/PCIが推奨されている。
●CAG前にACSを同定する方法として最も頻用されているのは,心電図でのST変化であるが診断精度は十分ではなく,単一の指標でACSを正確に予測する検査法は存在しない。
●ROSC後患者への早期のCAG/PCIが患者予後を改善するという高いレベルのエビデンスは存在しないが,特にST上昇患者では迅速な施行が強く推奨されている。
●非ST上昇患者では,心停止の状況や既往歴などの心原性心停止の危険因子を考慮して症例ごとにCAGの適応を決定する必要がある。
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